ここ数年、日本中で鉄道ファンを悲しませる出来事がたくさん起きています。その一つが鉄道車両、路線、駅の廃止、廃線です。もちろん鉄道も慈善事業ではないため、利益を出さなければやっていけないというのはわかります。それにしても、本当に廃止という言葉を聞くことが多くなりました。
例えば、寝台特急「北斗星、トワイライトエクスプレス」が廃止されたことは日本中で大きな話題となりました。そのほかにも、採算が合わないローカル路線の廃止、利用客が少ない駅の廃止など、鉄道ファンの間で人気のある路線や駅までもが、次々と姿を消していっています。
クルーズトレインとは?
ただ、悲しいニュースだけではありません。ここ最近、クルーズトレインという新しい分野の列車が登場し、多くの人々にこれまでとは違った鉄道の魅力を伝えようと、新たな展開をみることもできています。
そもそもクルーズトレインとは何でしょうか?
クルーズトレインを簡単に言うなら、周遊型の豪華寝台列車の総称です。観光地や景勝地として有名な土地を数日間かけて周る列車で、海外ではヨーロッパのオリエント急行や、アフリカのブルートレインなどが有名です。
日本初のクルーズトレインななつ星とは?
日本においてクルーズトレインの先駆けとなったのが、JR九州が運行している通称「ななつ星」です。
正式名所はクルーズトレイン「ななつ星in九州」といいます。
コンセプトは、新たな人生に巡り逢う、旅。です。
車窓からの景色はもちろん、列車内にいても、これまでとは違った旅を体験することができます。
車内は、木やファブリック素材が多く使用されており、和洋・新旧融合など、独特な世界観を感じることができるでしょう。ダイニングカー、ラウンジカー、ゲストルームなど、車内のどこにいても最高の居心地とくつろぎを味わえます。
独特の世界観で世界中の人を虜にするデザイナー
ななつ星について簡単に紹介したところで、ななつ星のデザイナーについてもご紹介しましょう。その方の名前は、水戸岡鋭治(みとおか えいじ)氏で、日本の工業デザイナー、イラストレーターです。
JR九州、両備グループデザイン顧問などの肩書きを持ち、家具や建築のデザインはもちろん、列車やバス、駅などの交通に関係したもののデザインもしています。
そんな彼が注目を集めるきっかけとなったのが、JR九州の車両デザインを行った時のことです。これまでにない独特で奇想天外なデザインが高く評価され、彼がデザインした列車はブルーリボン賞やブルネル賞といった鉄道関連の賞を受賞し、日本のみならず、世界各国から注目されるようになりました。
これまでに、九州新幹線をはじめとした、JR九州の代表的な特急列車のデザインのほとんどを手がけ、九州に行けば彼のデザインした個性的な列車たちを見ることができるのです。
そして今回のななつ星も、水戸岡鋭治氏の元でデザインが行われ、今までにない新しい車両が誕生したのです。さらに2017年3月デビューした、熊本ー人吉間を走る「かわせみ、やませみ」という電車のデザインを手掛けることとなりました。
クルーズトレインはいらない?
こんな魅力的なクルーズトレインなのですが、相次ぐ寝台特急の廃止があったことも忘れてはいけません。
クルーズトレインの全盛がはじまったと巷では言われ始めてはいるものの、鉄道ファンの間では、以下のようなご意見もあるようです。
・そもそも寝台列車とは長距離を走るものである。
・なぜ人気のあった寝台列車を廃止するんだ?
・そもそも価格設定が庶民には手が届かない。。おかしい。。
・クルーズトレインの魅力はわかるけれども、走る距離が短すぎる。
このように、クルーズトレインに対しては、特に走る距離に対する不満が多いようです。
これらが、鉄道ファンがクルーズトレインはいらない
と思う理由なのでしょう。
まとめ
今回は、クルーズトレインとは何?というところから、その必要性について注目してみました。
この周遊型の豪華寝台列車は、鉄道ファンの方たちにとっては、寝台列車の代わりに生まれたものの、まだまだその存在を認められるところにまでは至ってないのが現状のようです。
しかし、クルーズトレインななつ星を一目見るだけでも、ななつ星のデザインに心打たれることでしょう。そして機会があるなら、実際に乗車して水戸岡鋭治氏の世界観を体験してください。