電動カートに乗る高齢者が事故を防ぐための注意点は?

電動カート、シニアカー、電動車いすなどいろいろな呼ばれ方をする乗り物。そう。ハンドル操作型の電動車いすを目にしない日はないくらいです。自宅周辺での手軽な移動手段として、高齢者に普及してきました。また、一方で重大事故も起きており、安全運転のために習得が必要な知識や技術もあります。今回は、この電動カートの活用の現状や今後の課題について考えてみました。

 

道路交通法は?

ハンドル型電動車いすは、1980年代半ばに発売され、累計販売台数は、2016年の時点で約50万台といわれています。運転免許は必要なく、道路交通法上では、歩行者と同じ扱いで右側を通行します。また、最高時速制限もあり、時速6キロ以下と定められています。

 

人気の理由は?

高齢者が車のかわりに、自転車や原付よりも、より安定性の高い乗り物として購入する例が増えています。
利用者へのアンケートによれば、購入者の3人にひとりの割合で、自動車運転免許を返したためと、その購入理由を挙げているようです。

 

利用者層とその目的は?

現在の利用者は、70代が21.5%、80代以上が74.3%となります。利用目的は買い物が一番多く、次に散歩、病院へ行く、の順となっています。利用者の3割がほとんど毎日乗るということです。
アクティブな高齢者が、家に閉じこもらず、買い物をしたり、知人と会話したりすることで身体機能や、認知機能の維持につながると考えられます。

 

重大事故の発生件数とその原因は?

2008年から2014年の7年間での電動カートでの死亡事故は36件、また重症となった事故も15件、合計51件もの事故が発生しています。特に目立つのは、踏切内で立往生して列車と衝突した事故です。また、道路わきや川への転落事故なども多いようです。

事故を起こす原因として、特に気をつけたいことは、意図しない発進です。一般自動車でもよく聞くのですが、ブレーキとアクセルを踏み間違えるといったような事故になります。電動カートの場合、アクセルレバーを軽く押すだけで動くため、踏切や交差点などでの事故のリスクがあります。

また、急な坂や段差、路肩などでの転倒も要注意です。
突然のバッテリー切れが思わぬ事故を招くことも予想されます。

自動車運転手としての私の経験ですが、道の狭い車道にはみ出して走行している場面をよく見かけます。
また、夕方暗くなった時など車ドライバーの視界が悪くなった時の運転も非常に危険です。
電動カートはスピードがありません。さらに、左側を走行した場合は、車に追突される恐れもあります。

 

まとめ

価格帯が1台30万から40万円のこの電動カートですが、介護保険制度を使えば、月額数千円でレンタルできる場合があるといいます。また、今後の少子高齢化により電動カートのニーズはさらに高まると予想されます。

運転する前の注意点として

・運転技術、認知機能に問題がないか確認しましょう。

・運転に慣れるまでは、安全な広い場所で練習しましょう。

・バッテリーが充電されていることを確認してから運転しましょう。

・交通量の多い道路は避け、踏切も極力避けましょう。

・安全運転講習会などがあれば積極的に参加するようにしましょう。

以上があげられます。

便利な電動カートだからこそ、安全運転を心がけたいものですね。