高齢者のせん妄の症状にはどういった特徴があるのか?

認知症の高齢者が突然普段と様子がかわり、会話のつじつまが合わなくなることがあります。
それは、「せん妄」と呼ばれる状態です。

一見、認知症が悪化したしたものと間違えられやすいのですが、できるだけ早い治療が必要です。
せん妄を見逃さないためにも周囲にいる方は、高齢者のどんな言動に気をつけたら良いのでしょうか?

 

医学的にせん妄とは何か?

せん妄のせんは漢字で書くと、譫と書きます。譫とは、「うわごと」という意味です。
医学的には意識障害のひとつで、脳の働きの乱れから起こります。実は、高齢者だけではなく、頭部外傷を負った方、手術の後には若い人でも起こります。

 

せん妄の症状の特徴とは?

・もうろうとして話のつじつまが合わない
・食事に集中せず、食べ物をこぼす
・妄想して、ありえないことを言う
・幻視を起こす(見えないものが見える)
・家族がわからなくなる
・関心が次々に移り、注意散漫になる
・怒りっぽくなる
・会話の内容を覚えていない
・夜眠らず、昼間寝ている
・これらの症状が急に起きて、夜間に特に激しくなる

などです。

 

せん妄の種類

せん妄には、

「過活動型」と呼ばれる、興奮して言動が激しくなるタイプと
「低活動型」と呼ばれる、意識が低下したり、うつらうつらしたりするタイプがあります。

見逃しやすいのは低活動型の方です。
在宅認知症患者では、家族や周囲の人が変化に気づいてあげることが大事です。

 

認知症との最大の違い

上記の症状が急に現れます。1日の中で、症状がでたりおさまったり、変動するというのが認知症との最大の違いです。認知症が徐々に進行するのに対し、せん妄はいつからと発症時期がはっきりしています。
認知症の症状は主に記憶障害ですが、せん妄は意識障害です。症状は特に夜間に悪化します。

 

せん妄かも?と気づいた場合はどうする?

できるだけ早く医療機関に連れていくべきですが、興奮している場合は慌てずに落ち着いてから受診するようにしましょう。どれだけ異常な症状がでたかを医師に伝えることよりも、いつからその症状がでたのか、原因に心当たりがないのかを考えてみましょう。

外出先で転んだなど、何かきっかけがなかったかを医師に伝えることで治療がすすむことがあります。

 

せん妄の原因は何か?

せん妄は心に問題があって発症すると思われがちです。しかしながら、脱水や感染症、薬物の影響など身体面の方に原因があるようです。原因を突き止めて治療を行えば、改善が期待できる反面、そのまま放置されてしまうと、せん妄の症状は悪化し、認知症もさらに進む恐れがあります。

せん妄は心の問題ではありません。

 

まとめ

認知症とせん妄を区別するのは、医療関係者でも難しいそうです。ご家族の高齢者が認知症で見られるいつもの症状と違うと感じたら、かかりつけ医や病院を受診してみましょう。