ビフィズス菌に大腸がん予防作用はあるのか?

がん大国と呼ばれている日本ですが、現在大腸がんは女性のがん死の死因1位になっています。また、男性でもがん死の死因の3位となっており、かつての胃がんの死亡率をはるかに上回る数値となっています。

かつて日本は胃がん大国とよばれるくらい胃がんの患者が多かったのですが、最近になって大腸がんの発生が多くなり、今では大腸がん死亡率は胃がん死亡率を上回るほどです。いったいどうしてこのような結果となったのでしょうか?

理由のひとつに、胃がんの早期発見に加え、治療技術が進歩したことがあげられます。
またもう一つの理由が我々の食生活の変化にあると言われています。というのも、1960年に肉の消費量は年間平均約3キロでしたが、現在では年間約43キロも消費しているというのです。

 

お肉の消費量と発がん率の関係について説明します。

肉の摂取量が多くなると、脂肪を分解するための胆汁酸の分泌も増加します。
使われた胆汁酸は、再び吸収されて肝臓に戻るので大丈夫なのですが、3割ほどの胆汁酸は大腸に流れ込んでしまいます。そのため、悪玉菌によってそれが発がん促進因子に変化してしまうのです。

脂肪のとりすぎ、また高蛋白質な料理が悪玉菌を増やし、それが大腸がん発生率を高めるという結果になっています。

 

ビフィズス菌に発がん予防作用は本当にあるの?

実験用のネズミに発がん物質を58週間与え続け、がんの発症率を調べてみました。
エサの中にビフィズス菌を混ぜて食べさせたところ、大腸だけでなく、いろんな臓器のがん発生率が大幅に低下しました。

 

それでは、人間ではどうだったのでしょうか?

大腸がんを引き起こすといわれているのが、毒素産生型フラジリス菌と呼ばれる悪玉菌です。
日本人の10人に1人は保有していると言われます。
そこでこの悪玉菌を保有する32名にビフィズス菌入りの食品、または牛乳を8週間取り続けてもらい、便の中の毒素産生型フラジリス菌の数を測定しました。

すると、ビフィズス菌入りの食品を摂取したグループは、接種前と比較して悪玉菌の数が10分の1程度に減少しました。これはビフィズス菌の働きによって、大腸がんのリスクが減ったことを意味します。

 

まとめ

ビフィズス菌は、整腸作用はもちろん、花粉症などのアレルギー軽減、インフルエンザ予防、発がん性物質の抑制に効果があります。ビフィズス菌をとることで様々な病気を予防することができます。

注意として、ビフィズス菌の中でも、生きている菌をとるようにしましょう。生きた菌でないと、善玉菌を増やす効果がありません。また、ビフィズス菌は胃酸などに弱いため大腸に届くまでにほとんどが死滅してしまいます。そのため、食品を通して接種する場合は、生きたまま大腸に届くような工夫をしましょう。